学院長元気の出るブログ

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恐ろしや、訳者の作り出すイメージ

2016.10.08日

レイモンド・チャンドラーの小説は主人公の私立探偵マーロウが語り手である。「私」(清水俊二訳)。「おれ」(田中小実昌訳)。第一人称は訳者で異なる。
◆どちらを好むかは人それぞれだが、〈私は腰を降ろした〉(清水訳『高い窓』)の「私」が「おれ」であると、どうだろう。目に浮かぶ動作の速度や、椅子の立てる音は微妙に違ってくる。言葉とは繊細なものである。
◆本紙の東京版で砂川浩慶・立教大学教授のコラムを読み、「役割語」なる言葉を教わった。性別や職業など、特定の人物像を思い起こさせる言葉遣いを指す。
◆競泳選手マイケル・フェルプス(米国)の発言はテレビで「ぼく」と訳され、ほぼ同年齢の陸上選手ウサイン・ボルト(ジャマイカ)は「オレ」と訳されることが多いという。そうしたイメージの固定化はいずれ、報道を紋切り型にしかねない。自戒の念を新たにした次第である。
◆とはいえ、第一人称の「I」を“オレさま”と訳してみたい人が世間にいるのも確かだろう。フィリピンの大統領。米国の大統領候補。「ばいきんまん」じゃあるまいし、である。自戒、早くも危うし。

(読売新聞 10月7日 編集手帳より)


アメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は10月5日、ネバダ州ヘンダーソンのヘンダーソン・パビリオンで演説しました。


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トランプ氏は、一票でも多く得るためなら何でも言うという姿勢を見せ、会場にいた不治の病と闘う患者たちを前にこう言い放った。
「もう少し生きて、来月俺に投票してほしい。あなたたちの病気がどんなに重かろうと俺は構わない。たった今医者のところでもう終わりだと告げられて戻ってきたとしても、俺は構わない。そんなことは問題じゃない。とにかく、なんとしても11月8日までは生き延びてベッドから這い上がって、俺に一票を入れるんだ」


実際にトランプ氏が語ったのは、次のような言葉です。
"I don't care how sick you are, I don't care if you just came back from the doctor and he gave you the worst possible prognosis, meaning it's over. Doesn't matter. Hang out till November 8. Get out and vote."


でも、
「どうかお願いです。なんとか投票日まで持ちこたえて、私のために一票投じてください」
と訳したら、トランプ氏のイメージがすっかり変わってしまいます。
訳し方次第で、紳士にもダーティなイメージにもできる。
これが言葉の怖さ、というか訳者の先入観の怖さです。


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